縫製を仕事としない趣味の範囲の使用目的で開発されたミシンです。
各メーカー競い合って「興味をそそる内容」でシェアを広げようとします。社会性が反映されますから洋裁人口がめっきり減った昨今では洋服を作る目的より手芸目的のミシンが大半となりました。

各社の販売競争は激しく外見がきれいで 多機能で軽い。操作はコンピューター化され自動で簡単・・・と実に便利で楽しそうです。その上次々モデルチェンジ、市場は回転していきます。『家庭用ミシン』の種類は各メーカー合わせるとそれは豊富です。

どれが良いのか選択に迷います。『家庭用ミシン』の場合は、説明書にモーターの力が記されていない物がほとんどですので、選択の明確な基準をつかみにくいのですが、「お買得(格安)」と勧めるミシンには注意してください。モーターの力は弱く、縫うことのできる服地の種類は非常に制約されます。

使い手のミシンの知識が年々低下する近年では、仮にこの手のミシンを購入してしまっても「ミシンとはこんなもんなんだ!」と妙に納得してしまう人が多いのが現状です。

中には良心的に作られた性能の良い『家庭用ミシン』もあります。「お買得」を売り物にしませんので機能に合わせてそれなりの価格が付いています。

家庭用ミシンは「操作が簡単」「楽しそう」と興味をそそり使いたくなりますので『創造』のきっかけという点では、粗雑な作りのミシンを避ければ最初に出会うミシンとしては良い面があります。小さな子供さんのいる家庭では、イニシャルや動物柄の刺繍など遊び感覚でミシンに触れられ、これをきっかけに「作る」才能を見出し「仕事」への夢を広げていった人も多いことでしょう。

しかし何といっても機械です。構造が複雑になればなるほど機械には負担がかかります。直線縫い機能、ジグザグ機能、ロックミシンも兼用可、コンピューター内蔵・・・と 機能が追加されればされるほど故障も多く寿命は縮まります。売る目的で機能を一つ増やす度にミシンに持病を作っていると言っても過言ではないでしょう。

近頃の家庭用ミシンはコンピューター内臓です。 ミシン店の工員では修理ができません。 修理は製造メーカーに送ることになります。 コンピューターが普及する前のミシンは、機械に詳しければ個人が修理することも可能でしたし、ミシン店の工員がその場で修理することも可能でしたが、今のミシンはそれができません。 メーカーに送りますと日もかかり修理代も高くなります。

又、『家庭用ミシン』は見た目の美しさを出す為と持ち運び易く軽量にする為にプラスチックが多く使われています。金属類が減れば減るほど耐久性に欠けます。

 家庭用ミシンのモーターの力(回転数)と『職業用タイプ』のモーターの力の差は3倍です。 家庭用は約500回転。 格安ミシンでは更に落ちます。
 モーターの力とは、ミシンの針が布を刺す力、押さえ金が布を押さえる力、送り歯が布を送る力などです。 この力が弱いミシンは、厚地は縫えず、縫い目が乱れる、布がまっすぐ進まない、、、など思い通りに機能してくれません。 

職業用ミシン(プロタイプミシン)は約1500回転です。 しっかりと布を押さえて縫い進みますからきれいな仕上がりになります。(ちなみに工業用ミシンは4500回転)
名称は「職業用」ですが、一般家庭でも服を主に作る人達に普及しています。
自分の目的にどのミシンが合うかよく考えて購入することをお勧めします。

家庭用ミシンで充分遊んで色々作る内に、創造の範囲も広がってくるとだんだん家庭用のミシンでは物足りなくなるでしょう。「もっと色々な服を作って 一歩プロに近づいたおしゃれがしたいな」と創作意欲がふくらんできたら、『職業用タイプ』以上のミシンを考えてみてください。

1.失敗しないためのミシン選び

2.具体的な選択基準 

3.工業用ミシン 

4.職業用ミシン

5.家庭用ミシン 

6.ロックミシン 

7.中古ミシン