@ ( 〜約900回転/分)

縫製を仕事としない趣味の範囲の使用目的で開発されたミシンです。

一分間の回転数(右上)はミシンの動力(モーターの力)を示します。 家庭用ミシンは900回転が上限です。

「服は縫える?」・・・ そこはどんな仕上がりを期待するかにより回答が異なります。 
昔に比べ動力は増してきましたが、家庭用ミシンはあくまで家庭内で使用する際の安全範囲の動力です。 そのモーターの力の差は大きく、2枚の布の縫合すら満足にできないミシンもあります。 その類は価格はとても安く、つい購入して使ってみたら、、、あれ? こんなはずじゃ・・・と修理を申し込んでも、モーターはそれ以上にはなりません。 機能を高めることもできません。 服の製作は残念ながら期待できないでしょう。  

上限の900回転のミシンでは、特別厚い生地や縫い難い生地を除けば、普段着、部屋着などの製作は可能ですが、「きれいに縫えるか」という問いには疑問符が付きます。

洋服を作る目的で生地を探す場合、薄い生地、厚い生地、伸びる生地、針が刺さりにくい生地など、、、色、柄、素材が気に入ると、ミシンの能力への配慮はさておき買いますよね。 
裁断して縫う段階まで気付かないことがあります。 どんなに自分の縫製技術が高くても「縫う役目」はミシンです。 針が刺さらない、まっすぐ進まない、きれいに仕上がらない。。。 いろいろな技を使って悪戦苦闘したりしても解決できないことがあります。

そんな苦い経験をすると、生地を選ぶときに「これは縫えるかな?」と生地の選択範囲を狭めてしまいます。 楽しみは減っていきます。 

更に、家庭用ミシンでは下の様なことが起きます。

家庭用ミシンで縫った経験のある方は、
「縫い代が重なって段差がある場面で、ミシンがうなって進まない」とか、
「襟の外周にステッチをかける時に左右に布が揺れてまっすぐ進まない」 
「ステッチのミシン目の幅が揃わない」
など、思う様にミシンが機能してくれないという経験があるでしょう。

「自分が下手なんだ」とがっかりされる方もいらっしゃるでしょう。

いえいえそうではありません。 ミシンの力(動力)が足りていないのです。

ミシンの3つの力
● 針が布を刺す力
● 押さえ金が布を挟み固定する力
● 送り歯が布を送る力(段差があっても乗り越える力)

この3つがミシンの大事な力です。 この力が家庭用ミシンでは劣ります。

ミシンはあなたの「片腕」です。 経験を積み重ねた熟練者でも、ミシンの「腕」が劣れば洋服はきれいに縫えません。

逆に「片腕」の能力を上げてあげれば、きれいに縫えます。 生地の選択に気遣う必要なくデザインの幅は広がります。

縫う機能は上がりますが、服の評価は、生地に合った縫い方ができるか、製図が正しいか、や アイロンのかけ方なども関係します。 そこは経験を重ねて正しい方法を学んで上手になりましょう。)


家庭用ミシンは家電と似たところがあります。 各メーカーが競い合って開発を進めます。 「人気取り」が結構重要な目的になるでしょう。

外見がきれいで 多機能で軽い。 操作はコンピューター化され自動で簡単・・・と便利で楽しそうです。

「最初は小物から」 「子供の幼稚園の袋作成」・・・などは家庭用ミシンでも大丈夫でしょう。 
ジグザグ縫い(右図)ができるという点も魅力です。
ジグザグ縫いができる家庭用ミシンのマイナス面は、直線縫いにダイヤルを戻した際、表側は縫い目はきれいですが、裏側のミシン目が少し斜めに傾きます。(左図 ミシンの目が少し傾いています。) 
襟の外周などにステッチをかける時は裏表に注意しましょう。

家庭用ミシンに慣れて、小物から服作りへと進んだ頃、様々な場面で思う様に縫えない「なぜ?」に直面するでしょう。 
洋服の仕上がりが気になってきましたら、次のステップとしてA職業用を考えましょう。 

洋服の仕上がりは、着用する人が満足であれば問題ありません。 趣味の領域で、縫い易い生地なら家庭用ミシンで充分に満足している方はたくさんいらっしゃいます。 仕事で商品を作る時は細かな仕上がりに目を向けましょう。

 
価値観の違いですが、「もっときれいに」を望むようになりましたらAの職業用に進むと多くが解決します。 たとえ趣味でもこだわりがある方は 動力のしっかりしたミシンへ買い替えを考えても良いでしょう。

初めてミシンに触れるきっかけとしては、@の家庭用ミシンはお勧めです。楽しめますから。 
Aの職業用以上のミシンになりますとジグザグ縫いができません。 直線縫い専用となります。 刺繍などを楽しみたい方は、家庭用ミシンを手元に残しつつAの職業用ミシンを購入する方がいらっしゃいます。 

職業用という名称から「仕事ではない、趣味です」という人からは敬遠されがちですが、趣味でも様々な素材で「服」を作るのならAの職業用に進みましょう。 家庭用ミシンで感じていたストレスは減り仕上がりは格段と上がります。 
敬遠を避け、「プロタイプのポータブルミシン」などという名称で販売するものもあります。 機能面ではAの職業用と同等です。


ボタンホールの問題

直線縫いしかできない、、、となると、ボタンホールができません。 別売りのオプションとしてボタンホールの器具があります。 取り付けることで布が左右に振れ、ボタンホール縫いができます。 家庭用ミシンを手元に残して、ボタンホールの際に家庭用を使用するという方もいらっしゃいます。


こんなパフォーマンスに注意を・・・

力があるかどうかの判断として、
家庭用ミシンのデモンストレーションで見かけるシーンですが、何枚も重ねた分厚い布を縫う場面を見たことがありますか。 押さえ金の下に分厚い布を挟むとぎゅっと挟まれますので布は固定され、一定の厚みのままミシンのスイッチを入れると進みます。 「挟む力が強い。厚くても縫える!」と錯覚してしまいます。
薄い布を挟むとどうでしょうか。 家庭用のミシンの場合は押さえ金と送り歯の間で布が泳いでしまいますから、いざスイッチを入れると均等に布送りができません。 その理由で、デモでは薄い布のパフォーマンスはしません。 

モーターの力の強いAの職業用ミシンは薄い布でもしっかり挟み、送り歯も力がありますから均等に布を送ります。 前述「ミシンの3つの力」が強いのはA職業用以上のミシンです。

ミシン店にもミシンメーカーにも事情があります。 洋裁人口が減った昨今、ミシンに興味を持ってもらいお客様に使っていただく必要があります。 各社生き残りは必須です。 魅力があり商品が回転することは経済にとっても大事なことです。


多機能に注意を・・・

家庭用ミシンの「多機能」は魅力です。 でも注意しましょう。 構造が複雑になればなるほど機械には負担がかかります。 
直線縫い機能、ジグザグ機能の2つはほとんどの家庭用ミシンに見られます。 その基本機能は家庭用ミシンの「柱」です。 
しかし、それ以上の機能追加は注意が必要です。

ミシンメーカーは便利な機能を足していきます。 例えば、糸かけが簡単、糸調節は自動、足踏みではなくボタンを押してスタートとストップ、更にロック機能も兼用という物まであります。 簡単で便利は魅力です。
しかし、機械に無理をさせているものもあります。 各機能は最善な状態が保てず、故障も多くなります。

又、見た目の美しさを出す為と持ち運び易く軽量にする為にプラスチックが多く使われています。 金属類が減れば減るほど耐久性に欠けます。 「軽い」は魅力ですが、金属が多く重い方が、中の部品も外枠も頑丈です。(昔の家庭用ミシンは重く、頑丈で壊れ難いものでした。)

モデルチェンジもします。 
長年使用して故障、部品交換、、、となると、「部品がありません」ということも直面します。 (A職業用やB工業用ミシンは、仕事で使用する人(社)が多いため、長く使え壊れないようにできています。 一日10時間以上稼動、、、でも耐久します。 モデルチェンジは時々しますが、基本構造は変わりません。 部品交換は結構昔のミシンでも対応してくれることが多いです。 コンピューターは一部内蔵していますが家庭用ほどではありません。 多少の故障は自分でも直せたり、ミシン店の工員がその場で修理できたりします。)

楽しむことが創作には大切ですから、もの作りのきっかけとしては楽しめる@の家庭用ミシンはお勧めです。 手芸を目的とする範囲では楽しめるでしょう。


機種が多く選択に迷う

価格は安いものから高いもの(一万円台〜20万を越すもの)まで、、、 迷います。 安過ぎる家庭用ミシンは注意が必要です。 モーターの力がとても小さいです。 
ではどのランクが良いか、、、中程度であれば500回転位はあるかと思いますが、詳しくは販売店、メーカーにお尋ねください。 

沢山の機能がついた高額ミシンは魅力ですが、モーターの力は家庭用の範囲(900回転以下)ですから、20万を超えるミシンも力足らずの点は同じです。 

ちなみに、Aの職業用ミシンは、10万そこそこの価格帯です。 一台買えば、20〜30年、又はそれ以上持ちます。 (職業用のコーナーで説明します)

家庭用ミシンを使って物作りを経験し、「服を作ろうかな」とランクを上げたら、Aの職業用を選択肢に入れましょう。


刺繍専用ミシン

縫合機能とは別の機種として、家庭用ミシンに「刺繍専用ミシン」があります。 決められた絵柄の刺繍だけでなく、パソコンで独自のイラストを描いて、それをミシンの刺繍機能に落とすこともできます。 刺繍を服や小物などにあしらう場合はこのミシンは楽しめるでしょう。 価格は家庭用としては高額で、20万(又はそれ以上)程します。 工業用まで広げると大変高額なものとなります。


修理について

昨今では、コンピューターが多くのミシンに内臓されています。 その為、修理を依頼してもミシン店で直せないことが多く、製造メーカーに送ることになります。 家庭用ミシンがこの類です。 メーカーに送りますと日もかかり修理代も高くなります。

Aの職業用ミシンは、一部の機能ではコンピューターが稼動しますが、ほとんどの修理は工員が直すことができますので、修理に時間がかかりません。

家庭用ミシンで充分遊んで色々作る内に、創作の範囲も広がってくるとだんだん家庭用のミシンでは物足りなくなるでしょう。 服も縫いたい。 革ジャンも縫いたい。 革カバンも縫いたい。 きれいに仕上げたい・・・ と創作意欲がふくらんできたら、Aの職業用をお勧めします。


社会事情がミシン販売に影響を与えています

洋裁人口が減っています。 手芸が主流の昨今では、家庭用ミシンばかりが目立ち、その中で選択することが流れになっています。 
「洋服を作りたい」人へはなかなか情報が入ってきません。

ミシンを買おうかなと思った時、ミシン販売店で尋ねたりネット検索すると思います。 販売側は「家庭用ミシン」が経済の回転効果がありますので@の家庭用を表向き勧めるでしょう。

Aの職業用ミシンは残念ながら経済効果が低いです。 仕事目的で使用することを前提でミシンを製造しますから、壊れにくく作られています。 数十年壊れず動きますから、一台売ると そこでお客様との繋がりは切れます。 販売側としては敢えてその類を勧めるという動きは抑えるでしょう。 

職業用ミシンを購入する場合のお客様のアクションは、ミシンの前知識を持った上で、「職業用ミシンが欲しいんですけど」とストレートに店舗に求める方法がお勧めです。 

店でもネットでも職業用ミシンは販売していますから、その様なお客様には「洋服の縫製目的だな」と理解してくださいますから、求めに応じて対応してくださるでしょう。

その為に前知識が必要ですね。
実際に縫製を仕事にしている方に話を聞くことができれば様子が分かりますが、なかなか昨今近場では見つかりません。

又、実際にミシンを踏んでみると違いが分かるのですが、その場も見つからないでしょう。
モーターの力の差は、「家庭用ミシン」を使っている方が「職業用ミシン」を踏んでみると歴然です。 ただちょっと縫うだけでは違いが明確ではありません。 一着作ってみるくらいの製作工程を経験するのが良いのですが。

● 薄い場面から厚い場面にミシンを進めて、段差を楽に乗り越えるか?(これは、ミシン目が乱れないかという確認です)

● 襟の端のステッチをしてみる(押さえ金が半分しか乗っていない状態でも布がふらつかずまっすぐ進むか。 ステッチ幅が一定か。)

● ダーツの先端(細い部分)で返し縫いができるか? 襟の端のステッチと同じ理由です。 家庭用ミシンはここで返し縫いができないので糸を結んで処理します。

● オーガンジーやジョーゼットの様な薄い生地がきれいに縫えるか?

● 合皮などの革が縫えるか。 ジーンズの厚い生地が縫えるか。 冬の厚手のコート地が縫えるか?

なかなかその体験ができませんね。 いろいろな条件下で縫う必要がありますので、いろいろな生地で服を作る体験ができれば理想です。

近場にプロタイプミシン(A職業用ミシン)を置いている講習などに体験レッスンなどできると良いですね。 でも、ソーイング講習の場合、ミシン販売を目的とする場が多く、家庭用ミシンの販売が主ですから上の確認は難しいと思います。 多くがミシン店やミシンメーカーと提携しています。

何らかの解決策になるのであれば、、、
宣伝ではありませんが、当ソーイングレッスン(名古屋千種区本山)ではミシン会社とは無提携で長年続けていますので、通学が可能な距離であれば「体験」することができます。 A職業用ミシンを8台置いて各自一台使用することができます。 何か一着作って体験していただくと違いが分かるでしょう。 「ミシン確認で受講したい」と受講の際におっしゃってくださればお受けできます。(受講料がかかりますが一着のみ作って退会でも構いません)

長年講座を開講してきました。 趣味の受講でもブランド並みの仕上がりを伝えていますので、起業を叶えている方も沢山いらっしゃいます。 
仕事内容によって求めるミシンの選択等、分かる範囲でのアドバイスもできるます。(ミシン店との提携はありませんので、ミシンの購入を勧めることはありませんので安心してください。 縫製が専門のミシン代理店の紹介はできます。 名古屋、又は大阪に会社がある様ですので、その近隣の方でしたら相談に乗ってくれるでしょう。)

 ミシンの相談のみのメールでのお問い合わせは、申し訳ありませんお控えいただきますようお願いいたします。 レッスン時間内でしたら遠慮なくお尋ねください。

前術の「ミシンの3つの力」の解説の中で
「・・・服の評価は、生地に合った縫い方ができるか、製図が正しいか、アイロンのかけ方・・・」と書きましたが、ソーイングレッスンの受講ではそれらの体験、確認もできます。 仮に趣味であっても服はきれいに仕上げたいものです。 様々な条件下でも既製服の様にすっきり仕上げていきます。 多分各場面で、今までしてきた方法と違う気付きがあったり、「目からうろこ」を体験するでしょう。 今後のソーイングに役立ててくださればと思います。

起業目的、服の販売を考えている方の場合は更にです。 実用技術を求めレッスン場を探しても最近はなかなか見つかりません。(残念なことに、ファッション専門の学校等でも教員の技術不足が目立ちます) 
その現状から遠方からの受講者も多数参加されます。

当ソーイングレッスンの詳細は  してご覧ください。


  

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