A(1300〜1800回転/分)

職業用ミシンは、最近では右の様なポータブルタイプが主流になっています。 最近の住宅事情を背景に、場所を取らず収納ができます。 
見た目は@家庭用ミシンと変わらない様ですが、内容は違います。 

名称が昔から変わらず「職業用」の為、敬遠されますが、一般家庭で服作りが主な方はこのタイプのミシンをお勧めします。

昔ながらのテーブル付きの足踏み職業用ミシンもあります。(右参照)

家庭用ミシンが、素人向けに便利を優先して改良されてきたので、自動化された糸掛け、糸調節、糸通しなどに使い慣れている人が職業用ミシンを使う時、「糸掛けが面倒」「糸調節がうまくいかない」などの不満も聞かれますが最初だけです。 覚えれば難しくありません。

ミシンの基本構造は昔から変わりません。 家庭用ミシンは便利さを求め内部を改良、コンピュータ化し進化して今に至っています。 上糸と下糸をねじる様にからめて一目が縫える点は家庭用も職業用も工業用も同じです。 その繰り返しをして布を縫合する働きがミシンです。

● 薄地も厚地もまっすぐ歪まずきれいに縫える
● 縫いにくい生地もきれいに縫える・・・
 これが大事です。

ミシンの寿命を縮める機能はあえて付けず、どんな布も縫えるモーターの力(針が布を刺す力、布を挟む力、布を送る力)が大事です。(@の家庭用ミシンの解説で図解有)

名前はともかく、職業用ミシンが一般家庭でも仕事でも「服作り」に適しています。

服を作ろうと思って生地を探しに行き、買った生地を家のミシンで縫ったら「きれいに縫えなかった」では悲しいでしょう。
「自分は下手なんだ」と自分を責めてしまうでしょう。 いえいえ、ミシンです。

モーターの力が充分であれば、ジョーゼットの様な薄い生地もゆがまず進み、地厚のジーンズも冬のコート地も縫えます。 革も縫えますので革ジャンも、革バッグも楽しめます。

仕事目的の方を対象に作られたミシンですから、壊れない様にできています。 一日10時間、毎日などの使用でも耐えます。 20〜30年、又はそれ以上働いてくれるでしょう。 

 ミシンは機械です。 使わず収納したままですと油が固まったり金属がさびたりしますので、使うことが大事です。 頻繁に使う方が長持ちします。

職業用ミシンは、家庭用ミシンより内部の構造は単純です。 コンピュータが一部で稼動していますが、多少の故障でしたら、ミシンを理解すると自分でも直すことができます。 部品交換などの修理もミシン店の工員さんができます。 今の家庭用ミシンはそれができませんので、メーカーに送り、修理期間も長くなります。

職業用は仕事を止めてはいけませんので、修理は短時間で、使い続けても壊れず長持ち、、、 そこはミシンメーカーも外さないでしょう。

家庭用ミシンの様に市場の回転効果を狙ってモデルチェンジを繰り返す様な事はありませんので、壊れたときの部品調達も比較的スムーズです。
30年も経過すると、部品交換はミシン店では対応できないかも知れません。 縫製工場などを顧客に持つ専門のミシン代理店を探すか、直接メーカーに問い合わせる必要があるかも知れません。


Aの職業用ミシン Bの工業用ミシンは直線縫い専用ミシンです。 ジグザグ縫い(右図)はできません。

服を作る上では直線機能が重要です。 ジグザグミシン(@家庭用ミシン)のデメリットは、直線縫い機能のミシン目がきれいではありません。 表側はきれいですが、裏側の目は僅かに斜めに流れます。 ステッチをかける時は表裏を考えて縫わなければいけません。(家庭用ミシンのコーナーで図解有り)

職業用ミシンが一般家庭にも普及したことから、やはり便利さをお客様は求めます。 その要求にミシンメーカーも応えます。

(例1)糸通しが自動(糸通しレバーが付いている)
例2)ベルベットなど縫いずれし易い生地の布送り機能付き(ベルベットを主な仕事とする場合は出番が多いですが、この機能無しでもベルベットを縫う方法はあります)
(例3)自動糸切り機能付き(幾分短めの糸が残ります。 表面に出る際は更に短くハサミで切り落とさなければいけないでしょう)

・・・などですが、これも家庭用で説明した様に、機能を増やすことで機械に無理を与えますので、耐久性は低くなるでしょう。 

特に、糸通しが自動という機能は、針の向きを家庭用と同じ向き(正面から糸を通す)にミシンの構造を変えています。 職業用の針の穴は横向きです。 左から右に糸を通します。 この向きを無理やり家庭用(正面から後)に構造面で変えている点では機械に負担をかけています。 糸通しが困難な場合は、糸通しの道具が別売りで手芸用品店で売っていますので、それを代用したほうが良いでしょう。

 当ソーイングレッスンで使用する職業用ミシン(8台)は、どれも一番基礎的な機能のみのものです。 上の(例1〜3)は付いていません。 3つの機能を対処する手業がありますのでまったく問題ありません。 職業用ミシンは故障知らずです。 30年以上働いているものがほとんどです。 

一つだけ困るのはボタンホールができないことですが、別売りで直線縫いミシンに取り付けるボタンホールの器具が市販されています。ブラウスや普段着の薄手のワンピースのボタンホールならこの器具で充分でしょう。


職業用ミシンの選択肢はシンプル

職業用以上のミシンは、機能の数やモデルチェンジで興味を引いたりなど、経済効果の回転を狙うことはありませんので、各ミシンメーカーでは、上の(例1〜3)の機能を付けた数種しかありませんので、選択にはあまり迷わないでしょう。

ミシンメーカーは複数社あります。 メーカー差は幾分あります。 大差ではありません。 工業用ミシンを専門に製造しているメーカーは構造、耐久性などは信頼できるでしょう。 国内で使用するなら国産が良いでしょう。

職業用よりモーターの力の強い「B工業用ミシン」については下の項目からお入りください。
「仕事」は、時間との勝負です。 高速で縫える点は仕事の量がこなせます。 それに応えるのが工業用です。 しかしその力はベニヤ板でも縫える力を要しますので危険も伴います。 家庭で使用するのは注意が必要です。 


  

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