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既製服を裏返して縫い代部分をちょっと覗いてみてください。 縫い代の端がほつれない様に糸でかがってあるでしょう。(右写真)
これはロックミシンという端かがり専門のミシンを使って行います。

ロックミシンには、2本糸ロック、3本糸ロック、4本糸ロック、5本糸ロックがあります。

家庭で使われるのは2本糸ロック、3本糸ロック、4本糸ロックです。

糸の本数が一本増えるごとに、働きが加わります。

2本糸の場合は、表から見たかがり目は既製服の状態とあまり変わりませんが、裏面を見ると少々物足りなく、どちらが表に出る面かを考えながらロックをしなければなりません。(左画像)

3本糸は裏面もきれいなかがり目なので表裏は考えずにかがれます。

4本糸は中の1本が地縫い(縫合のための直線縫い)の働きをし、通常の直線縫いをしなくてもロックだけで2枚の布の縫合と端かがりが同時にできるというものです。 縫った部分は伸ばしても糸が切れませんのでカットソー(トレーナーやTシャツ類)には便利です。 
普段着、部屋着までなら楽しめるでしょう。 外出着としては少々縫い合わせ部分が不安です。 心配しながら着るより やはり直線ミシンで一本地縫い(直線縫い)をした方が安心でしょう。

4本糸ロックミシンのみでニット服を作る教室があります。 ロックミシンの販売(普及)目的も兼ねています。
その流れから「ニットは4本糸のロックミシンでなければ縫えない」と勘違いしている人が多いようです。 確かに縫った部分は伸び、ニットに適していますので、ロックのみで仕上がる服はあります。
でも、「ニットは4本糸ロックでなければいけない・・・」ということではありません。

ソーイングレッスンでは、Tシャツトレーナー、ニットセーターなど、どんな伸縮素材でも直線ミシンで縫合し、縫い代にロックをかけて服に仕立てています。 縫い方の注意やこつはありますが、4本糸のロックミシンだけで仕上げるより縫合部分がしっかりし、服自体の高級感が出ます。 縫い代の端かがりは、3本糸ロックで行います。
この方法なら、分厚いニットでは縫い代を割ることができますので、「製品」として価値が高まります。

 ロックだけで服を作る場合は、縫い代は片側に倒します。 布に段差ができます。 布の厚さによっては商品としての価値を落とす場合があります。 特に商品として販売する場合(既製服やオーダー服など)は注意しましょう。

 当教室では4本糸ロックミシンは糸を1本抜いて3本ロックとして使用しています。(右参照)

糸を4本揃える必要なく3本で済むという点でもリーズナブルです。

5本糸ロックミシンは、4本糸ロックに地縫い用の糸をもう一本追加した物で、3本で端かがり、2本が地縫いという働きです。 これは工業用として使われ家庭用にはありません。

色々使ってみた私の感触では、「3本糸ロックで充分」という結論です。

 近年3本糸ロックの製造を中止するメーカーが出てきています。 4本糸ロックの販売に力を入れた結果でしょうが、服作りでは3本ロックで充分なところ、この状況は残念です。 
4本糸ロックを買った場合も3本で使用することができますので用途に合わせて本数を調整しましょう。

<注意> 家庭用ミシンにロックミシンの機能を内臓した物が販売されています。 「くるっと返すとロック、戻すと普通のミシン」という物ですが、家庭用ミシンの項目でも触れた様に、機械に機能を追加すれば追加するほど肝心の働きがおろそかになり故障も多いものです。


自動糸調節について

ロックミシンでも糸調節が自動のものがあります。 自動はやはり魅力です。 機械が設定した糸加減で変えることはできませんが、多くの生地では問題ありません。

調整ができないと言う点では、特に商品製作など仕事として使用する場合に生地によっては困る場面もあるでしょう。 微調整ができるダイヤルが付いたものが安心でしょう。

又、使用する糸は指定の糸に限定されます。 指定以外の糸は糸調子が揃いません。 
たまたま不要な糸などが手元にあって、ロックに使っちゃおう・・・ということがあります。 調整ダイヤルが付いているものでしたら、不要な糸を利用することができます。

ダイヤルが付いたものは、毎回糸を調整しなければいけない・・・と心配する方がいますが、ロックは一度調整すれば、調整ダイヤルを使用することはほとんどありませんのであまり心配することは無いでしょう。


  

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